第99回全国高校野球選手権宮城大会が14日、Koboパーク宮城で開幕した。前年より3チーム少ない69チーム(72校)参加で、30日に同球場で決勝戦が行われる。14日は朝7時過ぎから球場まわりに選手が集まり、華やかで熱気あふれる光景となった。再会に喜んだり、対戦を約束したりと、開会式でしか見られない選手たちの顔がそこにはある。プロ注目左腕・佐藤隼輔(仙台・3年)ら、宮城県中学軟式野球部の選抜チーム(通称:県選抜)時代の仲間が、色違いの有力校のユニホームを着て談笑している姿はほほえましかった。

中学時代の旧友と記念撮影するなど、闘争心をいったん置いてなごやかムードの開会式。選手たちに聞いた「100年後の高校野球とは?」
中学時代の旧友と記念撮影するなど、闘争心をいったん置いてなごやかムードの開会式。選手たちに聞いた「100年後の高校野球とは?」

 宮城の選手が一同に会する唯一の機会ということで、ある質問を聞いて回ってみた。

「100年後の高校野球はどうなっていると思いますか?」

 来夏は甲子園大会100回大会を迎えるが、全国の野球部員数は6062人減の16万1573人で、加盟校(3989校)は12連続で減少している。宮城の傾向も同じで、昨年より野球部員52人減の2736人、連合チームが2つに増えた。参加チームが70を下まわったのは35年ぶりとなる。そんな中、選手たちは高校野球の未来に、どんなイメージを描いているのだろうか? 100年先を、チョット空想してもらった。抜粋して紹介する。


◆100年後の高校野球はどうなっていると思いますか?

・甲子園だけでなく、地方大会から全世界で生中継されているようになっている。/東北学院榴ヶ岡・早坂紘之主将・3年

・高校野球の参加校は当然、減っていると思う。そんな中で僕らのような伝統校の価値がより見直され、高まり、強さを発揮していると思う。(仙台一は今年創部120年)/仙台一・金原広汰投手・3年

・公立高校が甲子園に出られる特例が何かできていると思う。昨秋、県の21世紀枠候補に選んでいただいた時にチームが励まされたから。/佐沼・白石雄大主将・3年

・地域とのつながりがもっと密着して、地元の選手を応援しよう!という盛り上がりを、高校野球が引っ張ってくれていると思う。/利府・立川裕二主将・3年

・野球道具がとてつもなく進化していると思う。つまっても簡単にスタンドインできるバットが開発されていると思う。/柴田・伊丹健人主将・3年

・100年後は今とは全く変わっているはずなので「ドラベース」のような野球が本当に行われているかもしれない…。(*22世紀を舞台としたドラえもんの漫画で、「ひみつ道具」の使用や、ロボットや女子も試合に参戦できる)/石巻工・森勇樹主将・3年

・スマホやipadなどの通信機がベンチ内持ち込み可能に。サインもメールで受信して、打席で確認ができるようになる。サインミスがなくなる!/仙台育英・佐藤令央選手・3年

「スマホで受信したサインどおりに、送りバント!」。仙台育英・佐藤令央選手の考える「100年後の高校野球」は実に斬新!
「スマホで受信したサインどおりに、送りバント!」。仙台育英・佐藤令央選手の考える「100年後の高校野球」は実に斬新!

 現実的なものから、突飛なものまで。大人が考えつかないようなみずみずしい発想を、選手たちは口にしていた。他にも「タイブレークは反対。上まで行ったら、今まで通り延長戦で決着をつけたい」(多賀城・阿部竜也主将・3年)、「選手たちが、今よりもっといい顔をして野球をしていてほしい」(塩釜・三塚陸主将・3年)、「野球をやっている全ての選手が『ケガ人ゼロ』になっていてほしい」(石巻工・森勇樹主将・3年)という、願い・希望が込められた意見も多かった。

 他競技の隆盛、価値観の多様化、野球人口の減少…。そんな時代の中で、高校野球に打ち込んできた選手たち。未来につなげていきたい高校野球の魅力を、14日間の大会中、宮城からお伝えしたいと思う。【樫本ゆき】