右目の失明危機から復帰した浦和学院(埼玉)のエース左腕、江口奨理投手(3年)が、ソフトバンク松坂に並ぶ、全試合完投Vを誓った。30日、兵庫・西宮市内で、今日31日の準決勝、東海大四(北海道)戦に向けて最終調整を行った。江口はここまで3試合連続完投で、29回を投げて1失点と抜群の安定感を誇る。

 この日はブルペンで約40球、立ち投げで調整した。2年ぶりの日本一に向けて、決勝まで残り2試合。「自分が全部投げて勝たせたい」と言った。センバツの全試合完投優勝は、近年では98年の横浜(神奈川)松坂大輔(現ソフトバンク)、02年の報徳学園(兵庫)大谷智久(現ロッテ)以来。浦和学院が初優勝した13年のエース、小島和哉投手(現早大)も成し遂げていない。同じ左腕の先輩を師と仰ぐ江口にとっては、これ以上ない発奮材料だ。

 小島は5試合3失点の防御率0・64で優勝したが、江口はここまで防御率0・31。「0点で抑えれば、負けることはない」と、先輩超えに照準を合わせる。宝刀チェンジアップが低めに制球され、投球の安定感は1試合ごとに増している。ソフトバンク松坂がセンバツ優勝した約3カ月前に生まれた小柄な左腕が、「平成の怪物」級の活躍を目指す。【前田祐輔】