福島は、今春相双地区に開校し、1年生だけで夏初戦に臨んだふたば未来学園が、南会津に敗れた。2回裏1死三塁で、7番鈴木勝也内野手が中前適時打を打ち、未来につながるチーム初得点を挙げた。

 1点を取る喜び、アウトを取れないつらさ。夏の戦いは、1年生だけのふたば未来学園ナインに高校野球の原点を教えてくれた。

 1回裏には、主将で3番遠藤和明が記念すべきチーム初ヒットを打つが得点できず。続く2回裏1死三塁で、8番鈴木が中前打を打ち、待望の初得点を挙げた。鈴木は試合後「練習はノックばかりで、バッティングはほとんどしていなかった。振ったら当たった(笑い)。気持ちよかったです」と振り返った。

 185センチ、90キロと大柄でマッシュルームカットの鈴木は仲間に「マッシュ」と呼ばれるムードメーカー。広野小では4年から6年まで野球をやっていたが、広野中ではバドミントン、バスケット部しか部活が無く、野球をやりたくても出来なかった。3年のブランクがある分「今は楽しいです」。夏に向けてやってきた「練習の成果を出せた」と成長を実感していた。

 厳しさも十分味わった。154センチの左腕エース草野陸世(りくと)は、100キロ台の直球と緩いカーブを丁寧に投げ、6回まで4失点に抑えた。だが7回に入ると立つのがやっとというほど消耗が目に見え、ストライクが入らない。その回だけで8失点。6回2/3、15安打12失点で右翼守備にまわり、守りながら涙が止まらなかった。「最後まで投げられなかったのが悔しい。走り込みをして、ご飯を食べてスタミナをつけたい」と前を向いた。

 あと2度、夏を経験できる。「すべてにおいて足りない」と遠藤主将。「甲子園を目指せるチームをつくる」と草野。この日の教訓を、未来へつなげる。【高場泉穂】