ルーキーの活躍で勝ち上がった公立の雄が、いよいよ横浜に挑む。全国高校野球選手権大会(8月6日開幕、甲子園)神奈川大会で、今春県大会準優勝の相模原が神奈川大付を破り4回戦進出を決めた。1年生の柴田高平内野手が初回の三塁打含む3安打2打点の大活躍で、先発したエース宮崎晃亮投手(3年)を援護した。4回戦は今夏で勇退する渡辺元智監督(70)率いる横浜が相手。神奈川で最大の注目を集めるカードは20日、相模原球場で行われる。

 西東京同様、神奈川でも、主役の座を奪ったのはルーキーだった。初回。1点を先制しなおも2死二、三塁。相模原・柴田が初球を迷いなく振り抜くと、打球は右中間寄りへ抜けた。この2点三塁打を皮切りに、3回には左前へ、7回には引っ張って右前打を放った。広角に打ち分け、3安打2打点の大暴れ。早実・清宮をしのぐほどの大活躍だ。「初戦と違って緊張が和らいで、しっかりとした考えでできました」と汗をぬぐった。

 以前、練習試合で今日のようなサイドスローを打ちあぐねた。「レベルスイングだとフライが上がる。たたくことを意識しました」と教訓にした。悔しさも糧にした。5月の桜美林との練習試合。初めて遊撃で先発出場したが、10分程度で追い出された。「簡単なゴロをエラーして…。監督に『帰れ』と言われました」。その後はボールを使わず約3時間、捕球の練習を繰り返した。「この夏、何としても甲子園に行きたい。上を見ず1戦1戦、戦いたいです」と力を込めた。

 先発した宮崎は8回を投げ、6安打されながらも1失点に粘った。東大志望のエースも次戦、横浜との対戦に胸を躍らせる。「横浜は中学の時からすごいチームだと思って見てきた。でも(佐相)監督も『学校は公立、野球は私立』と言われるように、得意な野球をやって挑みたい」と、私立校に負けない野球を見せ、51年希望ケ丘以来となる県立校の甲子園出場を目指す。

 20日、いよいよ神奈川を代表する強豪に挑む。佐相真澄監督(56)は「自分の人生としても渡辺監督とやらせてもらえるのは最後のチャンス。頑張ってみたい」と静かに闘志を燃やす。公立の雄か、名門私学か-。神奈川の高校野球が、この夏最大の盛り上がりを見せる時がくる。【和田美保】

 ◆柴田高平(しばた・こうへい)2000年(平12)2月21日、神奈川・平塚市生まれ。5歳から軟式野球を始める。大磯中では平塚ボーイズに所属し3年夏に関東大会16強。「勉強と野球を両立したい」と偏差値65の進学校、相模原を目指した。毎日1時間40分かけて通学。好きなプロ野球選手はマーリンズのイチロー。50メートルは6秒4。家族は両親と兄、姉、弟。172センチ、66キロ。右投げ左打ち。