東邦-青森山田の準々決勝で、本塁打の判定が二塁打に覆る前代未聞の誤審騒動が起きた。1回裏2死二塁。青森山田の4番三森大貴内野手(2年)が右翼へ大飛球を放った。三森がガッツポーズをし、佐々木博憲一塁塁審は腕を回して本塁打の判定をした。

 ただ、テレビ中継で流れたリプレー映像でも、右翼フェンス直撃は明らかだった。一番近くで打球を見ていた右翼手の東邦・藤嶋健人(2年)は猛アピールしたが審判団4人で協議した結果、判定は覆らなかった。プレー再開と思われた直後、森久高球審が一塁側ベンチ脇の控室にいた兵頭宏審判幹事らに呼ばれ2度目の協議が行われた。

 指摘を受けた森球審はマイクを手に取り「オーバーフェンスではありませんでした。私どもの間違いでした。ランナー二塁で試合を再開します」と誤審を認めた。審判団が決定を下した後、グラウンド外からの指摘を受けて判定が覆るという異例の事態となった。

 明治神宮大会高校の部で大会審判副委員長を務める日本高野連の日野高理事は「(プレー時に)三塁側にいた(兵頭)審判幹事が右翼方面の打球を正面から見ていたので、審判のミスを正しい方向に訂正しました」とし、映像を見て判断したわけではなく「ビデオ判定」については否定した。試合は走者二塁で再開。その経緯については「試合が続行していても、三塁まではいけないという判断からです」と説明した。

 三森の先制適時二塁打を皮切りに、青森山田が4強進出した。【和田美保】