横浜(神奈川1位)のスーパー1年生・万波中正外野手が、公式戦初タイムリーで4強入りに貢献した。8回2死二塁から代打で左越え二塁打を放ち、コールド勝ちにつなげた。

 規格外のパワーに、球場がざわついた。コンゴ共和国出身の父と日本人の母を持つ万波が、8回に代打で登場。カウント2-2から低めに来た101キロのカーブに、体勢を崩されながらバットの先に当てた。打球は定位置を守っていた左翼手の頭上を越え、両翼99・1メートルのフェンス手前に落ちる二塁打。「うまく上がったので(左翼席に)入るかと思ったんですけど、球場が広かったです」。190センチ、92キロの大物ルーキーは、公式戦初の適時打にも残念そうな表情を浮かべた。

 苦手の変化球を、簡単に長打にしてみせた。直前の4球目は、同じ緩いボールを豪快に空振り。「ストレートは打ってきたけど、変化球では打ち取られてきた。少し自信になった」と白い歯を見せた。入学から1カ月半で2本塁打。背番号「13」でベンチ入りさせる平田徹監督(33)は「今日の(飛距離は)そうでもないけど、生きの良さを見せてくれた」と目を細めた。

 潜在能力の高さは計り知れない。東練馬シニアでは投手も務め、最速138キロをマークした。開進二中では陸上部に所属し、1年時に100メートル障害で都大会2位。2年時には砲丸投げで優勝した。今秋ドラフト候補の視察に訪れていた西武鈴木球団本部長は「オコエ(楽天)より体が大きいし、すごい飛距離だ。足も速い。楽しみな選手が出てきた」と言った。早実(西東京)の清宮幸太郎(2年)に続く、未来のスター候補が現れた。【鹿野雄太】

 ◆万波中正(まんなみ・ちゅうせい)2000年(平12)4月7日、東京都生まれ。小2からブルーフェニックスで野球を始める。開進二中では東練馬シニアに所属し、外野手兼投手。3年時に全国大会4位。190センチ、92キロ。右投げ右打ち。遠投105メートル。50メートル走6秒3。