「私立勢初の甲子園なるか」。徳島大会の組み合わせ抽選が27日に行われ、私立の生光学園(せいこうがくえん)が初優勝を誓った。47都道府県で唯一、私立の優勝がない同大会。今夏は本命鳴門の対抗馬に名前が挙がった。3番には「2世選手」野村真弘外野手(3年)が入る。父はPL学園で春夏連覇を達成した野村弘樹氏(46=評論家)だ。野村には父に並ぶ舞台へ最後の挑戦、初戦は7月14日の脇町戦となった。

 生光学園の宿敵、鳴門とは決勝で対決する組み合わせとなった。4番武岡とともに打線を引っ張る野村は結果を聞く前に鳴門戦を見据えた。「気持ちで負けないようにしたい。甲子園に行きたいです」。昨秋が1-2、今春が2-4、ともに準決勝で敗れた相手だ。

 父野村氏に連れられ初めて生光学園を訪れたのは中学1年の冬だった。同中学は硬式のヤングリーグに所属。監督は父と旧知の平田薫氏(62=現総合コーチ)だった。駒大では中畑(前DeNA監督)と同期。巨人、横浜などで活躍し「左殺し」といわれた。その指導を見て転校を決めた。「反復練習がよかった。行くなら簡単に帰れないところと思っていました」と話す。

 池田OBの河野雅矢監督(36)はこう評する。「みんなが打てない相手でも1人打つ強さがある。ある種天然です」。今月中旬、父が見学に訪れ「アウトハイの球をどう打つか」と周囲に話していた。1週間後の練習試合で、その球を左へ本塁打した。

 野村は4割をキープ、通算本塁打7本と絶好調だ。「大会では本塁打よりチャンスでヒットを打ちたいです」。鳴門には5年連続の優勝がかかる。生光学園が決勝で阻止するなら、私立勢初の、父子2代の甲子園が実現する。【米谷輝昭】

 ◆野村真弘(のむら・まさひろ)外野手 1998年(平10)12月12日生まれ。神奈川県出身。5歳で野球(ティーボール)を始める。リトルに進み、ポジションは投手兼遊撃手。生光学園中時代に肘の手術を行い、以降野手に専念。50メートル6秒1、遠投101メートル。175センチ、73キロ。右投げ左打ち。兄の泰貴さん(桜美林大2年)も生光学園出身で、現在外野手として活躍中。