女子マネジャーも一緒に戦っているんです。記録員としてベンチに入った登米・飯塚結菜マネジャー(3年)は試合中、1度もベンチに腰を下ろすことはなかった。スコアブックを左手で抱きしめ、右手にはボールペン。そしてナインと同じように最前列に立ち、声を張り上げた。「打球の行方を言ってるんです。『飛んだ!』とか」。

 ホルンをスコアブックに持ちかえた。中学時代は吹奏楽部。応援で見る野球部が格好良かった。もっと近くで見たい。父文彦さんが同県の審判をやっていることもあり、野球が大好き。高校に入学すると迷わずにマネジャーになることを決めた。「高校野球って声を掛け合って、ボールを追ったり、なんか絆があるから好きなんです」。一緒に甲子園を目指すことがうれしかった。みんなを支えるために冬場は1人1合分のおにぎりを握り、練習中には打撃マシンにボールを補充する。練習で行うノックでは監督にボールを手渡した。

 この日、ベンチで祈るように手を合わせた瞬間がある。0-0で迎えた5回2死満塁。4番三浦明大外野手(3年)の打球が中前へ落ちると、笑みがはじけた。だが、すぐさま視線はスコアブックへ。「早く記録しないと試合がどんどん進んじゃうんで」と得点をしっかり記録すると、ペンを持ちながらうれしそうに手をたたいた。選手と同じ距離で見られる勝利。「応援のスタンドじゃなくてベンチから見られるんですよ。一番近いところで勝利を味わえるなんて最高です」。マネジャーになって良かったと心から思う、最高にドキドキする夏が始まった。