「稲村亜美は104キロだよ」とナインにいじられる千葉・岩崎岳投手(3年)が、平均100キロの直球を有効に使い、9回6安打2失点で公式戦では人生初完投。「たぶん千葉で一番遅い」と笑うエースが上、サイド、下手と3投法を使い分ける技巧派投球で、古豪・成東を3-2で撃破するサヨナラ勝ちをもたらした。

 千葉は昨夏、投手経験者がいない新チームでスタート。伸びのある外野からの返球が決め手となり、岩崎が外野手からエースに抜てきされた。経験不足とスピード不足を補うため、80キロのカーブとの緩急差も利用し、超技巧派としての道を探った。またスタミナ養成のため、今春大会後から一時、八千代市の自宅から片道約15キロをランニングして通学したこともあった。

 高橋好正監督(59)は「今まで最高の投球だった」と称賛。岩崎は「次もテンポよく打たせて取りたい」と白星と自信を積み上げながら、真のエースへの階段を上る。【湯本勝大】