部員10人で挑んだ伊具の夏が終わった。3年生8人、2年生2人で古豪石巻と熱戦。ベースカバーを怠らず、球際にも果敢に突っ込む。走者を出してもゴロをきっちり捕球して5併殺を完成させるなど、少人数チームと思わせないほどの守備力でリズムを作った。

 見せ場は9回。先頭打者の2番横山晃平外野手(3年)が二塁打で出塁する。続く勅使瓦隼平内野手(3年)が右前打を放ち、1点を返す。その後も相手の失策を誘うなどし、さらに1点を返した。追いつかなかったが、部員55人の石巻相手に対して、最終回に2点を返す健闘だった。佐伯友也監督(28)は「中盤まで粘れば、終盤にチャンスが来る。うちららしい粘りが出た」と振り返った。

 部員はわずか10人だが、練習試合を多数行ってきた。今チームは昨秋から約110試合を実施。試合の中で連係や守備力を強化してきた。部員が少ないために普段の練習でもフリー打撃の際は投手と捕手位置以外は守備につき、打撃練習と守備練習と同時に行う工夫をしてきた。5併殺を記録した守備力に山内栄太主将(3年)は「遊撃も二塁も(ベースに)タイミングがギリギリに入ってアウトになる練習をしてきた。併殺ができたのはやってきた取り組みができた」と振り返った。

 短い夏を終えたが、「10人だからこそ気持ちが1つになった。最終回までやりきれた」(山内主将)と涙は見せず、胸を張った。