兵庫大会で、今春から「1番・遊撃」に定着した報徳学園・小園海斗内野手(1年)がマルチ安打で夏デビューを飾った。今秋ドラフト候補の須磨翔風・才木浩人投手(3年)から2安打を放ち、背走からの好捕の美技でも貢献した。

 相手エースを見に来た日米12球団のスカウトに強烈なインパクトだ。須磨翔風・才木から小園が2安打。打っても守っても、1年生に見えない。「いいショートですね。これから先が楽しみですね」。楽天愛敬スカウトも目を細めた。

 初々しかったのは試合開始直後だけ。初回、先頭の打席で振り逃げで出塁。だがバスターエンドランのサインに反応できず。「相手投手が投げてきそうで、スタートを切れなかった」とうつむいた。それでも先制点につながった3回1死の夏初安打から、水を得た魚になった。5回も中前に運び、ドラフト候補右腕からマルチ安打。春季近畿大会県大会全5試合で安打を放った打力は本物だった。

 3-1の7回1死二、三塁の守備では、遊撃後方に上がった飛球めがけて背走。同点打になった可能性もある打球を好捕し「ああいう守りは得意なんです」とピンチを防いだ。

 この日の才木や神戸国際大付の平内龍太(3年)東郷太亮(3年)ら好投手がひしめく兵庫を勝ち抜くため、チームは力のあるエースのいる強豪と積極的に練習試合を組んだ。3日は藤平尚真(3年)を擁する横浜(神奈川)と対戦。ドラフト上位候補右腕から小園は高校3号と三塁打を放った。夏への自信をふくらませた。

 そんな16歳でも「あいつはエグイです。当たればホームランですから」と舌を巻く打者がいる。早実の野村だ。夏2戦2発の強打者を「負けられない」と意識する。最強1年生の座は譲れない。【堀まどか】

 ◆小園海斗(こぞの・かいと)2000年(平12)6月7日、兵庫県生まれ。小学1年から「宝塚リトル」で野球を始め、光ガ丘中時代は「枚方ボーイズ」に所属し遊撃手。3年秋に「U15アジアチャレンジマッチ」で優勝。報徳学園では1年春の近畿大会県大会から正遊撃手。遠投105メートル。50メートル走5秒9。好きな選手はヤクルト山田。178センチ、73キロ。右投げ左打ち。