敗れはしましたが、最後まで諦めずに勝利を目指す“PL魂”は健在でした。正直に言うと相手は強豪で、結果や内容を度外視して応援しようと思っていましたが、想像を超える立派な戦いぶり。現役選手には心から感謝の気持ちを伝えたいと思います。本当にありがとう!

 試合前のシートノック。それだけで相手チームを威圧してきました。しかし、部員は11人。隙間だらけのグラウンドでシートノックをやっていました。一昨年の夏、大阪桐蔭との決勝戦を観戦した時にも、廃部寸前の野球部の現状を理解していました。それでも決勝の舞台では、元気に動けるメンバーでグラウンドは満たされていました。このギャップの大きさに、寂しさを実感しました。

 シートノックでの隙間の大きさは、現役選手たちの苦労や苦悩の大きさにもつながります。この人数で野球を続けるのは大変です。投手の数がいなければ練習試合の数も減るし、球拾いを手伝う下級生がいなければ、効率のいい練習はできません。先輩はいたけど、後輩はいない状況。名門の看板を背負い、実際にやっていた選手たちの苦労は想像を超えるものだったでしょう。

 そんな中で公式戦に出場しただけでなく、強豪を相手に好勝負。後輩たちの頑張りがあったから、PLのユニホームを目に焼き付けることができました。これが最後のユニホーム姿になるとは思いたくありません。彼らの勇姿を、野球部復活を信じて待つエネルギーにしたいと思います。(日刊スポーツ評論家)