神宮球場で、いきなりおかわりだ。日本ウェルネス(東東京)の「おかわり君」渡部健人遊撃手(3年)が公式戦初アーチから2打席連続本塁打を放ち、独協に12-4の7回コールドで快勝。夏は初となる16強入りを決めた。

 175センチ、105キロ。回転ずしで55皿を平らげるパワーはだてではない。5回1死走者なし。「来た球を打ちました」と、抜けたスライダーに反応した。試合用のバットは練習より250グラム軽い950グラム。「試合用はカラーバットみたいな感じ」と鋭いスイングで振り抜き、左中間の最も深い場所へ刺した。

 続く6回は2ランだ。直球を引っ張り左翼席中段付近へ“おかわり”した。「神宮で打ちたかったからうれしい」と満面の笑みだ。子どもの時、乗り物に乗れば疑われた。「本当に小学生ですか? って聞かれました」。フィリピン出身の母ルエナさんが作る好物のハンバーグをおかわりし、小6で168センチ、80キロまで成長した。

 体重は3ケタだが、動きは俊敏だ。50メートルは6秒4。美斉津忠也監督(38)が「グラブ裁きはうまいし足も使える」と太鼓判を押す通り守備範囲は広い。右足甲の疲労骨折などで、横浜商大高(神奈川)から1年の2月に転入。規定により今春公式戦出場資格を得た。5回戦は強豪帝京が相手だ。「挑戦者の気持ちで臨みます」。神宮で打つ本塁打は格別。渡部はその味を知ってしまった。【和田美保】