長崎商の163センチ右腕、本田一政(いっせい)投手(3年)が初戦の2回戦から決勝まで全5戦完投で計559球の粘投、2度目の完封で優勝に導いた。

 連投の疲れから直球は主に120キロ台も「45イニングを絶対1人で投げるつもりで投げた」。9回2死。最後の打者を1年秋から武器として使う内角シュートで二ゴロに打ち取ると、天に両手を突き上げガッツポーズ。「昨年は自分のせいで夏を終わらせた。先輩の悔しさを晴らせてうれしい」と、地面にうずくまり泣きじゃくった。

 西口博之監督(55)によれば、伝統校の圧力がありすぎて「通り越している」ほど期待があったという。この日も昨年のメンバーをはじめ各世代のOBらが29年ぶりの優勝を見届けようとスタンドに集結。本田もピンチでわき起こる「ホンダコール」を力に変えた。「甲子園ではいろんな方の思いを背負い、長崎大会以上の投球をしたい。身長が低くてもやれることを見せる」と本田。小さな大エースが活躍を誓った。【菊川光一】

 ◆長崎商 1885年(明18)創立の公立校。生徒数は794人(女子676人)。野球部創部は1920年(大9)。部員数77人。甲子園出場は春夏通算9度目(春2、夏7度)。主なOBはタレント蛭子能収、元巨人松尾輝義ら。所在地は長崎市泉町1125。松尾博臣校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦6-2佐世保南

3回戦4-0佐世保工

準々決勝6-1波佐見

準決勝3-2清峰

決勝1-0大村工