利府は1戦ずつ気持ちを切り替える「リフレッシュ打線」が躍動。3番打者鈴掛大地外野手(3年)が大会10号ソロで勢いをつけると集中打で得点を重ね、19安打11得点で柴田に打ち勝った。

 「利府レッシュ打線」が打ち勝った。2-1で迎えた3回1死走者なし。追い上げられる空気を3番鈴掛が変えた。カウント0-1からの2球目。スカッとする金属音とともに、打球は右中間へと突き刺さった。思わず右拳を上げる会心の当たり。「1戦1戦勝っていこう。1球1球、1戦1戦。悪ければ修正すればいいんです」。無心の打席が流れを呼び、両軍合わせて31安打の乱打戦を制した。

 勝利しても、余韻にひたらない。これで4回戦の仙台商に続き、シード校撃破は2つ目。田野誠監督(45)は「次は勝てるだろうと(トーナメントの)遠くを見て足をすくわれたことがある。組み合わせよりも目の前のこと以外を考えないようにする」と話す。今大会でも初戦の仙台城南、2試合目の亘理と一戦必勝を貫いた。相手が左投手ならば、対戦が決まった時から対策をすればいい。この日も「柴田さん対策は2日前から」と突貫で準備した。

 フラットな状態を支える軍団がいる。スカウティング隊だ。部員93人から選抜された4、5人が対戦相手の試合を偵察。VTRを作り、投手のフォームをインプット。配球や打球方向を徹底的に分析し、情報を与えられたメンバーが試合に生かしている。北條喜大主将(3年)が「情報を信用しています。出来事は想定内だと思って試合にのぞめる」と話す、毎試合心をリフレッシュしても勝てる秘密がある。

 次戦は春の王者東陵戦。田野監督は「帰ってスカウティング隊の情報を見て、みんなで研究します」と話し、ナインは足早にバスへと乗り込んだ。【島根純】