常葉学園菊川が12-0で袋井を下し、ノーシードから3年ぶり5度目の夏の甲子園出場を決めた。プロ注目の栗原健外野手(3年)が1回裏に放った初球先頭打者本塁打を契機に、打ちまくって毎回の19安打。投げてはエース落合竜杜(3年)が準決勝に続く2試合連続完封を飾った。7試合73得点の強力打線とエースの安定感を武器に、聖地でも頂点を目指す。

 エース落合が、準決勝に続く2試合連続完封を飾った。9回6安打5三振。持ち味の緩急をつけた投球がさえ、最後の打者を投ゴロに仕留めたが、歓喜の輪に加わるタイミングが遅れた。「三振でガッツポーズするはずだったんですが、乗り遅れました。やっぱり野手が主役のチームですね」と苦笑いだ。

 最速130キロ前半の直球と、縦横2種類のスライダーを操る技巧左腕は今春、常葉学園橘から異動してきた黒沢学部長(39)の指導で成長した。「軸足の股関節など、下半身の使い方や重心移動などを教わりました」。結果、フォームが安定して持ち前の制球力も向上した。今大会は42回で4失点。抜群の安定感で、フルスイング打線が伸び伸び打てる要因になった。

 スタンドでは父秀和さんが、その勇姿を見守っていた。磐田西で二塁手だった秀和さんは、少年野球時代から練習に付き合ってくれたが、落合が小3の時に脳梗塞を発症。今もリハビリを続けている。「野球に出合わせてくれたのは父。恩返しできたと思います。甲子園でも頑張っている姿を見せたいです」と落合。親孝行はまだまだ続く。