聖地で俊足のDNAを見せる。第98回全国高校野球選手権大会(7日から15日間)の出場校による甲子園練習が3日、行われ、初出場の八王子学園八王子(西東京)が登場した。巨人松本哲也外野手(32)を親戚に持つ細野悠捕手(3年)が、清宮幸太郎内野手(2年)を擁する早実を破った機動力野球の先頭に立つ。

 走って、走って、走りまくった。八王子学園八王子ナインが、念願だった甲子園のグラウンドを駆け回った。割り当てられた30分で、足を止めることなく守備を重点的に確認。巨人松本のはとこにあたる細野は「憧れの場所で、気持ちよくプレーできた」と笑顔で汗をぬぐった。

 初練習は「横浜流」だった。それぞれの塁へわざと悪送球し、クッションボールやフェンスとの距離感を確かめた。選手はカバリングに奔走。一塁側ファウルゾーンには、捕手の細野をはじめ二塁手と右翼手の3人が何度も往復した。細野は「甲子園で緊張すると思うので確かめた。感覚は神宮と変わらなかった」。全国屈指の強豪も用いた方法で、本番への準備を整えた。

 下位打線を任される女房役こそ、今夏西東京大会6試合で23盗塁を決めた機動力野球の鍵を握る。東海大菅生との決勝では「松本さんの動画を見て参考にした」という巧みなベースランニングを見せた。2回に死球で出塁して二盗を成功させると、一塁ゴロで投手がベースカバーに入った隙に二塁からホームを陥れた。50メートル6秒4でも「狙っていた。自分たちの売りは走塁ですから」。松本も山梨学院1年時に立った甲子園への道を、足で引き寄せた。

 積極性や度胸も松本譲りだ。血縁関係を知らされたのは小学生の頃。「母のいとこの子供が松本さんだと聞いて驚いた。実家にも行ったこともある」と話す。中学生になると巨人の練習場に足を運び「自分から『はとこです』と伝えました」と笑った。プレゼントされた革手袋やバットは宝物。「甲子園が決まった時も『頑張れよ』と親戚を通じて言ってもらった。甲子園でも思い切りプレーしたい」と目を輝かせた。【鹿野雄太】

 ◆はとこ 祖父母の兄弟姉妹の孫。父親または母親同士がいとこ同士の関係。野球界では、元巨人投手の鹿取義隆氏と元ヤクルト投手の岡林洋一氏は母親がいとこ同士で、はとこにあたる。

 ▼巨人松本 親戚が甲子園に出るのは初めてですね。僕の母校の山梨学院も甲子園に出ますし、いろいろ応援することになるが、1つでも多く、勝ち抜いてほしい。