甲子園優勝から世界一へ-。第98回全国高校野球選手権(7日開幕・甲子園)の組み合わせ抽選会が4日、大阪市内で行われ、優勝候補の横浜(神奈川)は第3日第3試合で東北(宮城)との対戦が決定した。ドラフト上位候補で最速152キロ右腕の藤平尚真投手(3年)は、最初で最後の甲子園で最速を更新し全国制覇を宣言した。

 藤平の前に、名門校が立ちはだかった。初戦の相手はレンジャーズのダルビッシュ有投手(29)の母校、東北に決定。春夏合わせて41回の出場を誇る同校だが、臆することはなかった。藤平は「ダルビッシュさんがいて、甲子園にたくさん来ている有名なチーム。でも、甲子園だからこそ全国の強いチームとやれる。有名なチームに勝って勢いをつけたい。目標は全国制覇です」と“強豪上等”と言わんばかりだ。

 昨秋から県大会3季連続Vを飾り、やっと最後の甲子園にたどり着いた。秋の関東大会では初戦負けし、センバツを逃した。「あれから意識が変わりました」。抽選会場では半袖のポロシャツの下に、右腕だけアンダーシャツを着用した。クーラーで右肩を冷やさないためだった。今、いつどんな時も意識はマウンドで投げる自分に向いている。

 約6時間前には、甲子園のグラウンドに足を踏み入れた。マウンドの感触を確かめ、「しっかり足を踏み込んで投げることができました」とイメージした。今夏の神奈川大会では22回2/3を投げたが、1度も9回を投げきれなかった。そのことに、納得はしていない。「課題の残る投球でした。甲子園では先発完投で投げきりたい」。平田徹監督(33)からは155キロも目指せると言われている。「全力投球した上で、スピードも出せたらいいです」とさらなる高みへ向かう。

 昨夏の東海大相模に続き、神奈川に2年連続の大優勝旗を持ち帰る覚悟だ。そして、目標の先には、さらに大きな夢も描く。「今は甲子園で結果を出すことがすべてです。でも、その後はU-18やオリンピックなど、高いレベルでやっていきたい気持ちはあります」と20年東京五輪にも思いを寄せた。その前に、やっとたどり着いた聖地で高校NO・1右腕の実力を見せつける。【和田美保】