第98回全国高校野球選手権(7日開幕、甲子園球場)の組み合わせ抽選会が4日、大阪市内で行われ、3年ぶり5度目出場の常葉学園菊川(静岡)は、大会第6日(12日)第4試合で今春センバツ4強の秀岳館(熊本)と対戦することが決まった。互いに県大会のチーム打率が4割を超える強力打線。強豪を撃破し、全国の頂点を目指す。

 抽選会の終盤、全体39番目で赤井啓輔主将(3年)が「22のB」を引いた。まだ相手は決まらなかった。その後もなかなか隣の欄が埋まらず、ラスト49番目の秀岳館が「22のA」を引き、両校の対戦が決まった。瞬間、常葉学園菊川ナインからは、どよめきとも歓声ともつかぬ声がもれた。

 日程は大会6日目の第4試合。森下知幸監督(55)は「(開会式から)空きすぎて難しい。できれば3日目までにやりたかった」と率直に言った。相手は今春センバツ4強で、熊本大会5試合48得点、チーム打率4割5厘。31盗塁と機動力もある。3人の左腕はいずれも最速140キロを超える。森下監督は「走攻守ともに全国NO・1クラス。思い切ってぶつかり、腹をくくって戦いたい」と気を引き締めた。

 さらに言えば、秀岳館には、中学硬式野球ボーイズリーグの強豪・枚方ボーイズ(大阪)でプレーした選手が多くいる。常葉学園菊川の主砲・栗原健外野手(3年)も愛知尾州ボーイズでプレーしていただけに「中学時代に歯が立たなかった相手と戦うチャンス。『やってやろう』と燃えています」と話す。

 相手は今春の熊本地震で被災した地域の代表校だけに、全国からの支持や声援も予想される。栗原もそれを受け止め「そうした思いのあるチームは強い。スタンドも一丸になってくると思うので、圧倒されないようにしたい」と言った。

 一方で左腕エース落合竜杜(3年)は静かに燃えていた。「打撃戦を予想する人が多いと思いますが、自分がそれを覆したいです」。赤井主将も「同じ高校生。勝機は必ずある」と意気込んだ。夏の甲子園最高成績は08年の準優勝。実績なら負けていない。プライドを懸けて強敵を倒しに行く。【鈴木正章】