第98回全国高校野球選手権(7日開幕、甲子園)の組み合わせ抽選会が4日、大阪市内で行われた。初出場の大曲工(秋田)は、花咲徳栄(埼玉)と10日の大会第4日に対戦。チーム打率2割に満たない大曲工打線が、大会屈指の左腕に立ち向かっていく。

 身の引き締まる相手だ。大曲工・高橋陽喬主将(3年)は、花咲徳栄の隣の番号を引き当てた。「自分たちがいかに向かっていけるか」。相手エース高橋昂也(3年)は最速152キロを誇り、埼玉大会6試合37イニングを無失点。52三振を奪ったプロ注目左腕だからこそ、真剣な表情で言った。

 地元名物にちなんだ「花火打線」は、打率1割9分7厘と出場49校で最も低い。だが阿部大樹監督(45)は「ヒットが出る、出ないでバタバタすることはない」と悲観していない。秋田大会は2安打で勝った試合が2つある。四死球で塁を埋めてタイムリーを放ち、敵失や暴投で得点した。少ない好機を生かし、粘り強く戦うのが現チームの持ち味。角館との決勝では、東北NO・1右腕と評された小木田(こぎた)敦也(3年)を攻略し、終盤8回に4点差を逆転した。同監督は「夏の県大会で得たものを、甲子園で発揮できればと思う」と話した。

 初出場して1勝した15年のセンバツ。浦和学院(埼玉)との2回戦は1-5と逆転負けした。先制してリズムをつかんだが、1点を取るしつこさや試合の駆け引きに課題を残した。阿部監督は「1点の取り方は生きていると思う。何度もチームに落とし込めるようにしている」。甲子園の敗戦から得た教訓が、今の粘り強さにつながっている。

 昨春に続き、埼玉県勢と顔を合わせるのも因縁めく。高橋主将は「投手と打者の距離を縮めたりしないといけないかも」と、打撃練習で対策に乗り出す構え。阿部監督は「自分たちの粘りがどれだけ通用するのか。ロースコアでいければ」と勝機を見いだした。大阪市内の宿舎には、補食として納豆を持ち込んだ。夏初陣は粘りも食して、「高橋昂撃ち」を狙う。【久野朗】