大会が開幕し、全3試合で本塁打が出る豪打の幕開けになった。盛岡大付(岩手)は9回に菅原優輝内野手(3年)の左越え本塁打など2本塁打が飛び出し、8-6で九州国際大付(福岡)とのシーソーゲームを制した。

 盛岡大付が「神ってる」2人の公式戦初本塁打で打ち勝った。4回に6番・小原大河内野手(3年)が右翼ポール際に同点ソロ。6-6の9回1死からは、2番・菅原が「何が何でも塁に出たくて」と、バスターの構えから左翼席に決勝ソロをかけた。関口清治監督(39)は「(小原)大河も菅原も脇役。大舞台で10の力を3も出せない子もいるけど、15ぐらいの力を出せてしまうのが甲子園」と、2人の想像以上の活躍に驚いた。

 菅原の2人の兄、甲子郎さん(33)と利満さん(28)も盛岡大付で甲子園に出場し、ともに初戦敗退していた。「兄超えを目指してきた」と1勝を喜んだ。小原も兄広大さん(19)が同校でプレー。兄は3年夏の甲子園でベンチ入りメンバーから外れた。その兄のグラブを借りて、この日三塁の守備に就いた。「いい報告ができると思います」と声を弾ませた。

 チームには室内練習場がなく、冬場は1メートル近い雪が積もるグラウンドで打撃だけを繰り返す。気温が氷点下の日もあり、長靴を履いて竹バットを振り続ける。「足場が悪いから、しっかり下半身を使って芯で打たないとボールは飛ばない。打つことは、どこにも負けないつもりでやってきた」と小原は胸を張った。鍛え抜いた打撃力は金属バットになって威力を増す。14安打のうち7本が長打。勝ち越して2度追いつかれても慌てなかった。

 2年前に念願の夏初勝利を挙げた。センバツも含めてまだ1大会2勝はない。菅原は「2つ、3つ勝つこと。自分たちの代で歴史を変えたい」と力を込めた。2回戦はドラフト候補右腕・高田萌生(3年)擁する創志学園(岡山)と激突。「神ってる」を再現する格好の相手だ。【久野朗】

 ◆岩手県勢4年連続初戦突破 岩手県勢は13年花巻東、14年盛岡大付、15年花巻東に次いで初戦白星。同県が夏の大会で初戦に4連勝したのは初めて。

 ◆岩手県勢が2発 岩手県勢の夏の大会の本塁打は大会前まで通算10本で、富山県(9本)に次ぎ全国2番目に少なかった。県勢のチーム1試合2発は98年高橋大作(専大北上)が如水館戦で2本打って以来で、2人が打ったのは初めて。