長崎商の62年ぶり勝利はならなかった。初回に2点を先制されるなど、山梨学院に主導権を握られる苦しい展開。終盤、0-5から3点を追い上げたが、及ばなかった。

 8月9日は長崎に原爆が投下された日だった。地元では平和祈念式典が行われ、選手たちは原爆が投下された午前11時2分から3分後の同5分、1回裏の守備を終えてベンチに戻り、円陣を組んだ際に約20秒間、黙とうをささげた。

 西口博之監督(55)は試合前、選手たちに「被爆者や亡くなられた方たちのことを思い、平和をかみしめながら、野球ができる喜びを感じてプレーしよう」と声をかけたという。6回、8回にチャンスで凡打に終わった主将の小出凌太郎捕手(3年)は「自分で決めてやろうという意識が強すぎて、後ろにつなげなかった。試合がこの日になって絶対に勝ちたかったんですが…」と、唇をかみしめた。