ドラフト上位候補で、最速152キロ右腕の横浜(神奈川)藤平尚真投手(3年)が7回途中、13奪三振1失点の快投で聖地デビューを飾った。東北(宮城)に7-1で快勝し、2回戦では同じく優勝候補に挙がる履正社(大阪)との対戦が決まった。

 待ちこがれた夢舞台で、自慢の直球がうなりを上げた。横浜・藤平が先頭打者の初球に147キロを投じると甲子園がどよめいた。5者連続三振で始まり、7回途中で石川にマウンドを譲るまで毎回三振。13奪三振のうち、実に11個の勝負球が直球だった。「直球を狙っているのは分かってましたが、(直球で)押していこうと思いました」。昨秋からのテーマ「空振りの取れる直球」を体現した。

 アストロズのスピードガンでは2回に150キロを計測した。打者の手元で伸び、高めのボール球でも面白いように空振りが取れた。3回にスライダーが甘く入って適時打を浴びたが、球種はこの2つだけ。6回2/3を6安打1失点の堂々デビューだったが、「まだ8割、75点ぐらいです。9回まで投げるつもりだったので」。上を目指すからこそ、自己評価は辛口だ。

 「自立」をテーマに、最後の甲子園を目指した。新チームの発足直後、平田徹監督(33)に寮での1人部屋を志願。「後輩や人に頼らず、何でも自分でやろうと思いました」。部屋が空いていたこともあり承諾を得た。清掃やゴミ捨ても全て1人でやった。週4でジムに通い、自分でスケジュールを組み立てた。心身ともに鍛え上げ、聖地へたどり着いた。

 2回戦は、世代NO・1投手と称されるエース寺島擁す履正社に決まった。「高校BIG3」に挙がる2人の激突に、「寺島とは早い段階で勝負したかった。もっとスピードは出せるしコースも厳しいところに投げられる。もっと自分のストレートを見てほしい」。優勝を占う天王山で、真っ向勝負を挑む。【和田美保】