好敵手を得て燃えた。履正社(大阪)・寺島が、2度の雷雨中断にも動じず、優勝候補・横浜を相手に1失点完投で勝った。

 「1回から9回まで気が抜けなかった。変化球を見せることで、真っすぐも生きた。勝ててうれしい」。多彩な変化球と内外角への制球力を駆使。これまで直球で押してきた投球スタイルを逆手に取った。1回は犠飛で先制を許したが、2回から7回までは内野ゴロを多く打たせ、二塁を踏ませなかった。

 甲子園出場を決めたときから「投げ合いたい」と熱望した藤平は、2番手として2回途中から出てきた。「ライバルではなく、お互いに高め合う存在」と寺島。ドラフト候補対決にスカウトが多数詰めかける中、負けん気を詰め込んだ148球だった。夏は3度目の履正社が1大会で2勝するのは初めて。大きな山を越えた左腕は「優勝に1歩近づいたと思う」と自信を深めた。