鳴門は両打ちの日野洸太郎内野手(3年)の活躍で盛岡大付(岩手)を破り、公立校で唯一勝ち残った。

 鳴門にすごみが増してきた。2回戦でセンバツ覇者の智弁学園(奈良)を破り、今度は盛岡大付から11長短打で11点を奪い13年夏以来の8強入り。勢いの象徴となったのが1番打者の日野だった。

 チームに1人だけの両打ち。相手先発が右投手で3打席目まで左打席に入った。4回1死一、二塁では、逆方向への左越え三塁打で2打点。左投手を引きずり出し、その相手には8回2死の右打席で、左翼席へ本塁打を浴びせた。これが口火でこの回5点を追加。ついにパワー全開だ。「右は大きなスイングで、左ではコンパクトに」打っているが、公式戦初本塁打で「自信がつきました」と笑みがこぼれる。中学時代は両打ちを封印したが、鳴門で「監督に“利き目が左だから、右でも打て”と言われて」取り組んだという。

 今大会初先発の中山にも1発が出るなど、50年以来66年ぶりの4強へ弾みがついた。徳島県内の先陣を切って開催される「鳴門市阿波おどり」は11日までの3日間、盛り上がった。最大規模の「徳島市阿波おどり」も15日に終了。鳴門ナインは今夏、地元の大イベントを味わえなかったが、そのエネルギーは甲子園での勝利への乱舞に向けていく。【宇佐見英治】

 ◆3年連続登板 鳴門・尾崎が1、2年の夏に続いて登板。48年の学制改革後、甲子園で3年連続登板は同じ鳴門の河野に次いで24人目(夏だけの3年連続は13人目)。