みちのく最後のとりで、聖光学院(福島)が北海(南北海道)に3-7で敗れ、4度目の挑戦となった4強入りはならなかった。2日連続で先発した背番号8右腕・鈴木駿輔投手(3年)が5回頭まで投げ7安打5失点の投球。打線も3点先制した初回以降は無得点に抑えられた。71年に準優勝した磐城以来、県勢45年ぶりの4強入りを逃し、東北勢は全滅した。

 10年連続で挑んだ夏が、またも8強止まりで終わった。前日17日の東邦(愛知)戦で、9回133球を投げ完投した鈴木駿が2日連続で先発するも、粘りきれなかった。4回までに4失点し、5回先頭にソロ本塁打を浴びて降板した。「連投で球が上ずって、思った以上に球がいかなかった」。打線も3点を奪った初回以降は沈黙した。斎藤智也監督(53)は「迷わず決めた。140キロ連発とはいかなかった。今日は四球で崩れたね。勝たせてやりたかった」と下を向いた。

 斎藤監督自らが「歴代最弱」というほどの投手陣を救う「鈴木駿先発」だったが、この日はきっちり対策を立てられていた。東邦を7安打2失点に抑えた高めの直球が効かなかった。鈴木駿は「分析されて高めの直球を見切られ、低めのスライダーも振ってもらえなかった」とうなだれた。クラーク(北北海道)との初戦で11安打を浴びた投手陣に危機感を抱き、投手に復帰しチームを救ったが、2回は通用しなかった。

 新チーム始動時には福島大会10連覇を狙える戦力ではなかった。春の県大会は6連覇で止まった。夏本番前の練習試合で負け続ける中で、主将の松本康希内野手(3年)を中心に「自分たちは弱い」と気付いたことで、チームは結束していった。練習中にはミスした選手を厳しくしかり、嫌われ役になってまでチームを引っ張った松本は「弱かったけど、ここまで来られた。厳しい言葉もかけてきたけど、いいチームになった」と号泣した。

 10年連続で甲子園に出ても、頂には届かなかった。日本一は来年以降にお預けだ。斎藤監督は「まだチャンスがあれば、上を狙えるチームをつくっていきたい」と宣言した。先輩たちが流してきた涙を糧に、全国制覇へ挑戦する日々がまた、始まる。【高橋洋平】