54年ぶりの決勝へ一振りで導く。休養日となった19日、作新学院(栃木)は明徳義塾(高知)との準決勝に備えて大阪・豊中市内で練習を行った。3試合連続本塁打中の入江大生内野手(3年)もフリー打撃や遠投で調整。ライナー性の強い打球を飛ばした。

 史上7人目の甲子園3戦連発から一夜明け、作新学院・入江は冷静になっていた。「自分をテレビで見て我に返りました(笑い)。大振りしていたので、コンパクトを心掛けました」。4戦連発を「狙う」宣言した前日から少々、軌道修正。俳優桐谷健太似のキリッとした目で引き締めた。

 フリー打撃では20スイング。中堅方向中心に低い打球をはじき返した。大阪入り後、同球場の練習で左翼へ場外弾をかっ飛ばした。が、この日はあえて「柵越えもなしでした」。基本は鋭い打球の安打。ジャストミートの「結果、ホームラン」が理想型だ。

 一振りで空気を変える。今日20日の準決勝で対戦する明徳義塾のエース、中野恭聖投手(3年)は1回戦から20回連続無失点を継続中。デジャビュだ。「早川くんもずっと無失点でしたよね。また自分が打って流れを持ってこられたら」。準々決勝の木更津総合・早川隆久投手(3年)も2試合連続完封の好投手だった。初回ソロの先制パンチで、初失点をつけた。

 初の春夏連覇を達成した62年以来の決勝へ。入江がカギを握るのは打力だけではない。打撃練習が終わると、元エースは外野で遠投を始めた。背番号1の今井は3試合を完投しており「疲れてるだろうし、今井におんぶにだっこじゃダメ。カバーしたい」。前日の試合も途中からブルペンに入った。守護神の役割を果たせば、優勝マウンドに立つ可能性もある。

 まずは準決勝。史上初の4戦連発を「期待してもらえるのはうれしい。でも重圧はない。自分らしいスイングをします」。無欲のアーチストほど、怖いものはない。【鎌田良美】

 ◆作新学院・入江の3試合連続本塁打 12日、尽誠学園(香川)との初戦(2回戦)は2点リードの7回2死で左翼ポール際へソロ。17日の花咲徳栄(埼玉)戦は3点リードの2回、2死二塁から外角高めスライダーをとらえて2ラン。18日、木更津総合との準々決勝では1回2死から先制ソロ。エース早川の失投を逃さず、真ん中高めの直球を芯でとらえた。