聖隷クリストファー(西部5位)が、金星で初の東海大会出場を決めた。名門静岡(中部1位)を1-0で撃破。エース河合竜誠(2年)が、緩急と制球力で完封勝利を飾った。決勝戦と3位決定戦は今日2日、静岡市の草薙球場で行われる。

 「遅球エース」の河合が、静高打線を封じ込めた。1-0で迎えた9回裏1死一塁、最後の打者はスライダーで一ゴロ併殺に仕留めた。河合はベンチから飛び出してきた仲間と抱き合い、顔をくしゃくしゃにして歓喜した。

 河合 今までで一番うれしいです。今日はスライダーも直球も低めに制球できた。1回を落ち着いて抑えて、流れに乗れました。

 静岡のエース池谷蒼大は、最速144キロを誇る県屈指の剛球左腕だ。河合も左腕で、直球は最速120キロにも満たない。だが、投球術では負けてなかった。低めにスライダーを集め、右打者には外に逃げるチェンジアップを投じた。そして、時には直球で厳しく内角を突いた。内外野は、ベンチの指示で守備位置をこまめに変更した。深めに引いて守り、許した長打は二塁打1本のみ。計8安打を浴びたが、最後の1本は許さなかった。河合も「内野も外野もよく守ってくれて助かりました」と、チーム一丸での完封劇を振り返った。

 今夏は開幕戦で沼津東に敗退した。県で「一番短い夏」になったが、新チームは基礎から鍛え直され、初の東海大会出場を決めるまでに成長。植竹和人監督(40)は笑顔で選手をたたえた。「勝つにはこういう形しかないと思っていた。選手はイメージ通りに戦ってくれました」。

 河合を好リードした水谷優稀主将(2年)も「うれしいです。これからも今日のようにチャレンジャー精神を忘れず戦っていきたい」と言った。静高を制した自信を胸に臨む初の東海大会。目指すは当然、来春のセンバツ大会(甲子園)出場を確実にする上位進出だ。【鈴木正章】