九里学園(山形3位)は延長10回タイブレークの末、7-5で角館(秋田3位)を下した。4番に入った2年生捕手菊田一颯(いっさ)が攻守で活躍した。

 九里学園の年下女房・菊田が先輩エースを奮い立たせた。9回裏、3点差を追いつかれ、なおも1死二、三塁と一打サヨナラ負けのピンチ。マウンド上で気落ちした斎藤圭吾(3年)のもとに駆け寄ると「ここからは思い切って投げろ」と強い言葉を浴びせ胸をたたいて鼓舞した。「先輩後輩は関係ない。弱気になっては駄目な場面だったので」。斎藤がこん身のストレートで中飛に打ち取り、菊田は本塁突入する走者をギリギリのタッチで阻止してみせた。

 10回裏をゼロで抑えると駆け寄る斎藤をがっちりと抱きしめた。「昨年まで野球部の寮で同部屋で今回もホテルが同部屋なんです。気心知れた仲なんで」。8回に2点適時二塁打を放つなど3安打2打点。「肩には自信があるので」と2つの盗塁を阻止。タイブレークでは、すべて直球勝負の強気のリードで先輩をもり立てた。

 高橋左和明監督(45)は「菊田が攻守でチームを引っ張ってくれた」とたたえた。同監督は石巻市民球場近くの旧雄勝町出身。東日本大震災で浜から50メートル離れた実家が流された。この日は親戚、友人が応援に駆けつけていた。

 今日9日の2回戦で昨春ベスト4進出を阻まれた東北と対戦する。菊田は「勝ち続けて九里の新しい歴史をつくりたい」と意気込んだ。