支えは女手一つで育ててくれた母だった。帽子のツバには「恩返し」と書いた。入学時は、母を残して入寮することに「不安でつらかった」と振り返る。だが、母から「寂しい部分もあるけど、それ以上に成長した仁海の姿を見たい」と背中を押され、覚悟が決まった。金銭的な負担を減らしたい、と野球道具は人一倍ていねいに扱っている。

 巨人高橋監督らを桐蔭学園時代に育てた、名将土屋恵三郎監督(63)は「昨春くらいから意識が変わってきた。朝の掃除や練習も真面目に取り組んでいる」と評価する。2年春からエースに抜てきし、チームの躍進につなげた。創部7年目で、過去最高成績は昨夏の4回戦進出。今夏、本田が歴史を塗り替えてみせる。【赤津亮太】

 ◆本田仁海(ほんだ・ひとみ)1999年(平11)7月27日、横浜市生まれ。北大和小1年から野球を始め、捕手兼外野手。小5から投手。つきみ野中では軟式野球部に所属し、中学2年から2年連続で県大会出場。星槎国際湘南では1年春からベンチ入りし、2年春から「背番号1」。好きな食べ物は母が作るオムライス。ニックネームは「ひとみん」。将来の夢はプロ野球選手。遠投115メートル。181センチ、75キロ。右投げ左打ち。