「岩手のドクターK」、千厩(せんまや)のエース右腕千葉英太(3年)が、7回コールドながら10三振を奪って完封した。

 立ち上がりに1死二、三塁のピンチを招いたが「先制点をあげては流れがいってしまう。後半に上げようと思っていたギアを上げた」と、速球で金ケ崎の4、5番打者を2者連続三振に仕留めた。4番の時には自己最速を1キロ更新する、143キロを計測した。

 菊池康弘監督(51)は「持ち味の三振を取ってくれて、落ち着いた」と初回の踏ん張りを評価。直後の2回の攻撃で、チームは4点を取ってエースを援護した。

 鋭いスライダーも武器にして、2年生だった昨夏は4試合35回3分の2で60三振を奪った。奪三振率15・17を残した「岩手のドクターK」。もっとも要所で三振を取ることにはこだわるが、走者がいない場面などではバックを信頼して、打たせて取る投球もできる。「最後の夏ですし。今日は勝利だけを狙っていた」。昨秋、今春の県大会はともに1回戦負け。大事な初戦は、雪辱の思いを胸に秘めていた。

 13日の3回戦は、第2シードの久慈と顔を合わせる。久慈とは昨夏の4回戦で勝利し、延長13回ながら23三振を奪い、岩手大会の1試合最多奪三振記録を35年ぶりに更新した。因縁めく一戦に「去年の結果は忘れて、自分のピッチングを」。静かに闘志を燃やした。