開幕試合で浪岡が10-1(7回コールド)でむつ工を破り、4年ぶりの勝利を飾った。打線が2回に一挙6点など14安打の猛攻。エース石村大空(たく=3年)が6安打1失点の好投をみせた。昨年は初戦(2回戦)で柏木農に延長11回の末、4-5でサヨナラ負け。その悔しさを晴らし、大勝発進した。

 勝利の瞬間、石村がとびきりの笑顔でマウンドを駆け下りた。185センチの長身から繰り出すストレートとスライダー、フォークなどで相手打線を打ち取った。石村は「最初は緊張して思い通りに投げられなかったが、後半は自分のピッチングができた」。打席でも、2回にレフト左に適時二塁打を放った。「去年の先輩たちの分も頑張った」と声を弾ませた。

 昨年7月10日、六戸町メイプルスタジアムでの柏木農戦。浪岡ナインはサヨナラ負けに号泣した。石村は2年生ながら7番三塁手で出場、3打数1安打1打点と奮起。8回まで4-3とリードしていたが、9回裏に同点に追いつかれた。さらに11回裏2死三塁で相手打者の打球は石村の前でイレギュラーし、レフト前へ。記録はヒットだが、石村は「先輩たちの夏を初戦で終わらせてしまった」と自分を責めた。

 学校は05年に合併し青森市になった旧浪岡町にあり、リンゴなど農業が盛ん。地域との一体感が強い。野球部は1965年(昭40)創部。地元の熱い応援を背に07、08年と連続ベスト8など健闘してきた。この冬は動物の動きを参考に、普段使っていない筋肉を動かすクリーチャートレーニングを取り入れ、さらに1・3キロの重いバットを振って打撃強化を図ってきた。

 3安打3打点の1番野呂大輝左翼手(3年)は「甘い球が来たら思い切り振ろうと思っていた。チーム全体、打撃の調子がいい」とにっこり。パワーアップした浪岡が、次は秋春優勝の青森山田に挑戦。青森大会に波乱を呼び込む勢いだ。【北村宏平】