復調した「関東NO・1右腕」が、いよいよ王者と対戦だ。ドラフト1位候補の青藍泰斗(栃木)石川翔投手(3年)が、今夏初先発し6回3安打10三振1失点の快投を演じた。最終回に最速を2キロ更新する151キロを計測。石橋に6回コールドで勝利し、22日の準決勝では作新学院に真っ向勝負を挑む。

 プロ7球団、スカウト16人が熱視線を送る中、石川がギアを上げた。5点リードの6回、1点を失い、なおも2死二、三塁のピンチの場面だった。「ここは絶対に抑えないといけないと思いました」。カウント3-1から6番伊藤哲哉外野手(3年)への1球。107球目が、自己最速を2キロ更新する151キロを記録した。

 結果的にボールで四球を与えた。だが、ピンチにもかかわらず、球場の球速表示を見て、マウンド上で笑顔を見せた。「うれしかったですけど、ビックリしました」。その1球が、石川の力になった。次の打者を149キロの直球で投ゴロに抑えピンチを脱し、準決勝へ駒を進めた。

 次戦は夏の県大会6連覇中の王者、作新学院に挑む。昨秋の県大会準決勝でも対戦。石川は先発で7回2失点と好投したが、0-2で敗れた。「秋は(連投が続いて)作新と当たるときには疲れていました」と振り返る。ペース配分の大切さと、体力不足を痛感した。

 冬場はトラックのタイヤの押し引きを1日10本ずつや、坂道ダッシュなど、自らノルマを課して追い込んだ。部屋のベッド横には、秋大会で敗れた時の新聞記事が張ってある。宇賀神修監督(63)は「秋負けてから、精神的にも成長してくれました」と語る。

 6回の投球について石川は「秋までの自分なら、ずるずると失点を重ねていたと思う。改善された点だと思います」と自画自賛した。大会前に痛めた左足首の状態は万全ではない。それでも、投球数が100を超えてからギアを上げるだけの余裕とスタミナがあった。

 大会前から「作新は意識します。勝つ自信はあります」と話していた。「チームとしてもレベルアップしている。接戦になると思うので自分次第ですね」。いよいよ、リベンジの舞台が整った。【太田皐介】