前橋育英(群馬)の皆川喬涼(きょうすけ)投手(3年)が、5回を打者15人で料理した。1安打、2四球で計3人の走者を許したが、併殺と盗塁死、けん制死でそれぞれアウトに仕留めた。「今日はいつもよりスッキリ起きられた。調子が良いなと思いました」と、完全にゲームをコントロールした。

 3回には、自己最速を3キロ更新する149キロもマーク。「出そうな感じがしました」と笑った。この回、147キロ、148キロ、149キロと3球続けて自己最速を1キロずつ更新していった。自身は球速表示を見ておらず、ベンチに戻ってから仲間に教えられた。「意識はしていなかったですが、出たなと。うれしかったです」。

 今年のチームは投手陣が充実している。昨秋の県大会、選抜甲子園、今春の県大会と、それぞれ皆川以外の3投手が背番号「1」を背負ってきた。そして最後の夏は皆川がエースナンバーを託された。荒井直樹監督(52)は「今年の投手陣は力がある。こんなこと(大会ごとにエースが変わる)はそうない。皆川は春から一番安定感がありました」と評価した。

 2戦続けてのコールド勝ちで8強入りを決めた。皆川は「球速よりもチームの勝利が優先。エースナンバーなので、チームを勝たせる投球がしたい」と意気込んだ。「夏のエース」が、前橋育英を2年連続の甲子園に導く。【太田皐介】