第99回全国高校野球選手権(7日開幕)の甲子園練習第3日が3日に行われ、明桜(秋田)が登場した。秋田大会決勝で右肩を負傷した明桜の主戦、山口航輝投手(2年)が本番での登板に不安を残した。右翼に入ったノック時は捕球後に返球せず、マウンドではシャドー投球をわずか1度しか行わなかった。最速146キロを誇る剛腕の回復が待たれる。

 不安を拭い去ることはできなかった。初めて聖地に足を踏み入れた山口は、もどかしい30分間を過ごした。ノック時には右翼脇で壁当てをして貴重な時間を消化した。その後、右翼守備に入り捕球するも、返球はしなかった。マウンドでは球を放ることなく、シャドー投球で1度だけしか右腕を振らず、あっという間に練習が終わった。

 山口 状態のことはまだ言えない。調整して、ケガした時よりはだいぶ良くなっている。

 7月25日の秋田大会決勝で負傷した。5回に四球で出塁した山口は一塁けん制で逆を突かれた。頭から突っ込んで右腕でベースをタッチした瞬間に右肩を痛めた。その後は肩が上がらず無念の降板。現在まで1度も投球練習を再開できずにいる。輿石重弘監督(54)は山口の状態について「戦術のことについてなのでノーコメント」と煙幕を張り、長瀬達哉部長(25)も「状態は普通ですよ」の一点張りだった。

 山口は投打の大黒柱だ。4番でチーム2位の5割6分3厘を誇り、打撃練習では左翼フェンス直撃の長打をかっ飛ばした。「肩に無駄な力が入らないので、打撃は調子がいい」。今日の抽選会で日程が決まり、本番まで逆算して調整は続ける。「抽選会では日程的に後の試合を引いてほしい。マウンドには立ちたいけど、チームが勝てばいい。勝つのが大事」。夏27年ぶりの勝利は、来年のドラフト候補にも挙がる二刀流右腕の右肩にかかっている。【高橋洋平】