主将経験も中村を成長させた。昨秋の県大会準々決勝敗退後に主将に就任したが、チームをうまく導けなかった。今春の県決勝で敗れ、「人間的な部分が足りなかった」と反省し、岩本に主将の座を譲った。夏に向けて、練習後に主将経験者の佐藤と岩本の3人で話し合いを重ねるとチームがうまく回り出した。「広陵があったから、これからも堂々と生きていける」。心身ともに成長した。

 7本目の本塁打こそ出なかったが、この日も記録を残した。9回1死一塁、最後の打席で左翼線へ二塁打。今大会19安打目を放ち、1大会の最多安打、同最多二塁打に並んだ。自らが持つ同最多塁打は43に更新。甲子園に記憶と記録を刻んだ中村は試合後、プロ志望を明言し「球界記録を作れるような選手になりたい」と目標を掲げた。女手一つで育てた母啓子さんとの約束“日本一”は、プロの舞台で果たす。【中島万季】

 ◆広陵が決勝4連敗 広陵は夏の決勝で27年1-5高松商、67年1-7習志野、07年4-5佐賀北に次いで敗戦。優勝経験がない4連敗は熊本工(0勝3敗)を上回る最多。