センバツ前に秋の日本一を取りに行く。秋季全道高校野球で4年ぶり5度目の頂点に立った駒大苫小牧が11日、同校グラウンドで練習を再開した。明治神宮大会(11月10日開幕、神宮)12年ぶりの優勝に向け、佐々木孝介監督(30)は、早くも3つの対策を掲げた。野球面では打撃力重視でのメンバー再考。さらに、あいさつの使い分けなど生活面の作法まで徹底的に磨き、チームの精神的一体感を狙った意思疎通の改善など、心技体とも洗練された集団に進化させる。

 何一つ浮かれることなく、いつものルーティンで、リスタートを切った。雨の中、グラウンドの端に並んだ駒大苫小牧の選手たちは、手足を合わせ並んで歩き出した。新チームから導入された“行進の儀式”で練習を開始すると、「わっしょい」と声を合わせ走る伝統儀式に移った。普段通り。4年ぶり秋制覇の余韻に浸ることなく、次の目標に向け1歩踏み出した。

 神宮大会に向け佐々木監督は「やっぱり勝ちたい、という気持ちです」とタイトル奪取を掲げた。そのための野球面での策は、打線の改良だ。既に練習再開のこの日から複数選手をBチームからAに入れ替え「選手は入れ替えます。打撃を重視しようと考えています」と説明した。全道4戦45安打、1試合平均11安打と畳みかけた攻撃力に磨きをかけ、来春センバツへの土台を築く。

 前回出場時の苦い経験も生かす。監督として神宮大会初陣の13年、初戦で対戦した沖縄尚学が同宿だった。甲子園と違い一般宿泊客とまざって食事をする環境で「見ていないとご飯とポテトしか食べていない者がいた。沖縄尚学の選手は自主的にバランスを考えて食べていた」。あいさつの方法にも差を感じた。「一般の宿泊客にまで立ち止まって、こんにちは。沖縄尚学は道を開けて軽く会釈ができたり。勝てないと感じました」。自己管理や作法まで徹底し、勝つための心を整える。

 「宿舎の関係で、移動しながらミーティングすることもある。いかにうまく意見交換できるか。大槻(龍城主将)、舞原(陽和副主将)ら中心に、他の選手をうまく巻き込めるように」と佐々木監督。打線の強化、生活面の成長、さらに効率良い意思疎通の3本柱をテーマに掲げ、初戦で敗れた4年前の雪辱に挑む。【永野高輔】