聖光学院(福島1位)と花巻東(岩手1位)が決勝進出を決め、来春のセンバツ出場を確実にした。聖光学院は能代松陽(秋田1位)を16-2で圧倒して5年ぶり5度目の決勝進出。花巻東は日大山形(山形3位)に6-4で競り勝ち、花巻商時代の73年以来44年ぶり2度目の決勝進出を果たした。今日18日に行われる決勝で、ともに初優勝と明治神宮大会(11月10日開幕)出場をかけて戦う。

 強すぎる。聖光の重量打線が1度火を噴くと、もう止まらない。打撃練習のごとく打ちまくり、17安打16得点。初回1死満塁に先制の2点中前打を放った5番須田優真内野手(2年)は4安打2打点。最速140キロを誇る相手エース左腕の佐藤開陸(かいり、2年)を簡単に攻略した。

 須田 チームとして低めの変化球を振らずに、見切ることができた。(打つ)ゾーンを上げて、積極的にいけた。

 県大会、東北大会の計8試合で80得点をたたき出し、1試合平均10得点と驚異的な数字を誇る。斎藤智也監督(54)が「近年最強」と自負するクリーンアップが重量打線の中核を担う。主将の矢吹栄希内野手(2年)を3番に据え、この日2戦連続弾を放った五味卓馬外野手(2年)が4番。元4番の5番須田は今大会13打数7安打4打点と調子を上げている。同監督は「復調した須田が4番に戻れば、史上最強と言ってもいいね。打てるのが3人そろうことは、なかなかない」と自画自賛する。

 先輩のためにも勝ちたかった。秋の開幕を前に、今夏のエースだった斎藤郁也(3年)たちが打撃投手を買って出てくれた。須田は「甲子園で活躍するような投手が投げてくれたから、自分たちも自信を持って大会に入れた」と感謝する。今夏の甲子園を2年生でただ1人経験した矢吹は、大阪市内の宿舎を去るとき「必ず春に帰ってきます」と号泣していた。「この夏は3年生に引っ張ってもらった。センバツに出場することが先輩への恩返しになると思った」と胸を張った。

 照準は優勝のみに絞られた。過去4度の決勝はすべて準優勝。初優勝で初の明治神宮大会出場を決める。斎藤監督は「センバツだけ目指すのはつまらない。ここは通過点」と意気込む。東北最強打線が襲いかかる。【高橋洋平】