「1番藤原」完全復活だ! 今秋ドラフト1位候補の大阪桐蔭・藤原恭大外野手(3年)が、今春センバツ以来となる公式戦出場で、今年初めて定位置ともいえる1番打者に入り、5打数5安打と大暴れした。痛めていた右膝の完治を優先し、センバツ後は公式戦を控えていたが、明石商(兵庫1位)戦で鮮やかに躍動。延長10回、7-6の勝利に貢献した。

 待ちに待った日に思い切り暴れまくった。初回、1番藤原が初球から振り抜いた。右翼へ打球が落ちると、二塁へ全力疾走。「ちょっといきすぎました」。惜しくもアウトになったが、第1打席からエンジン全開だった。第2打席以降も右安、右安、中安、二塁打と快音を連ね続け、5打数5安打2打点。「今日の試合にずっと合わせていて、絶対結果を残してやろうと思っていた。(5安打は)初めてくらい」。最高の「復帰戦」に笑顔も輝いた。

 痛めていた右膝を完治させるため、今春の大阪府予選はベンチ外。春連覇を果たしたセンバツでも、右膝の状態を考慮され「4番」での起用だった。この日の朝、西谷浩一監督(48)から「(打順は)1番と4番どっちがいいか」と聞かれた。藤原はきっぱり言い切った。「1番でお願いします」。切り込み役としての自信を表すかのように、2回には50メートル走で6秒を切る自慢の足でも今年初めての盗塁を決めてみせた。国内12球団のスカウトが視察。阪神畑山チーフスカウトは「最後の1本以外は会心の当たりじゃないけど、きっちり結果を出せる。トリプルスリーを目指す選手になるかもしれない」と舌を巻いた。

 試合は終盤に同点に追いつかれたが、延長10回で勝ち越し。藤原は10回1死一塁で四球を選び、勝ち越し機の拡大に貢献。「まだMAXに比べたら遅いけど足が武器なので、バッティングや守備よりも足を意識してやっていきたい」。王者に頼もしいチャンスメーカーが戻ってきた。【磯綾乃】

 ◆高校生のドラ1候補 走攻守トップレベルの大阪桐蔭・藤原、根尾、さらに昨夏のU18高校日本代表で走攻守3拍子そろった大型内野手の報徳学園・小園海斗遊撃手は1位を含む上位指名が確実視される。智弁和歌山・林晃汰三塁手は屈指の長打力を誇る。倉敷商・引地秀一郎投手は、150キロを超える速球派右腕。