プロ野球中日などで活躍した中尾孝義監督(62)率いる専大北上(岩手)は5回に7連打7得点のビッグイニングを作り盛岡三に大勝。就任わずか2年目で初の東北切符をつかみ取った。

 就任2年目の中尾イズムが浸透し、専大北上の打線が活性化した。2-1の5回1死二塁から、死球と犠打を挟んで7連打。初回に先制打の4番角田麗斗捕手(3年)が右中間への適時三塁打を放つなど、5本のタイムリーで大量7点のビッグイニングをつくった。

 中尾監督と同じ右打ち捕手の角田は「自分の後ろ(5番)に佐々木(龍樹内野手=3年)がいるので、楽に打席に入れる」。その佐々木主将も4安打の固め打ち。試合前まで、準決勝進出4校の中でチーム打率2割4分1厘は最下位だったが、4長打を含む15安打で10点を奪った。

 中日でリーグMVPにも輝いた元プロの中尾監督は昨年3月に就任。昨オフ、初めて東北の冬を迎えるにあたり、「相当やらせました」と、腹筋と背筋の強化を中心に体幹トレーニングを徹底させた。右打ちには定評ある角田も、3安打すべてが右方向で「一冬で打球が伸びた。押し込める力が出た」と、本塁打が出ればサイクル達成だった。

 中尾監督は東北大会出場も決めて、「ホッとしました」と表情を崩した。昨年は春秋の県大会、夏もすべて2回戦止まり。同10月下旬には、明秀学園日立(茨城)に32失点するなど、ダブルヘッダー2試合で50点近く奪われ、1年最後の練習試合を終えた。一冬越えて結果も伴い、「精神力はまだ弱いけど、技術は上達している。明日は胸を借りるつもりで」と、春は14年ぶりの覇権奪回に挑む。【中島正好】