第100回全国高校野球南北神奈川大会(7月8日開幕)の組み合わせ抽選会が9日、全国のトップを切って横浜市内で行われた。南神奈川の藤嶺藤沢は、最速148キロ左腕の矢沢宏太投手(3年)が屋台骨となり、85年以来33年ぶり2度目の甲子園出場を狙う。高校通算27本塁打の強打者で、50メートル5秒8の俊足でもある今秋ドラフト候補の“三刀流”が、チームをけん引する。7月12日の1回戦で平塚湘風と対戦する。

 矢沢は小さい体にパワーを秘めている。身長173センチながら、最速は148キロ。高校通算27本塁打を放ち、3番を打つ。50メートルは5秒8と走塁にも自信アリ。“三刀流”のチームの屋台骨は「チームが勝てることがベスト。自分のこだわりはない。チームが勝つためにどの選択をするか」と33年ぶりの甲子園へ闘志を燃やす。

 入学時は45キロだったベンチプレスも、今では105キロを上げる。学校のグラウンドで場外弾が相次ぎ、4月に縦横30メートルの“矢沢ネット”が設置された。昨秋からはイチローも行う初動負荷トレーニングを導入。肩の可動域が広がり、腕の振りも強くなった。今春の県2回戦慶応藤沢戦では6回参考ながらノーヒットノーランを記録。力のある直球とスライダーで10個の三振を奪った。「投球は安定してきた。崩れることはない」。中丸監督も「絶好調です。日増しに良くなっている」と目を細める。

 愛用のグラブは、昨季までコーチを務めた元西武の石井貴氏(現四国IL徳島監督)から贈られた。石井氏からは常々「プロにいくんだろ」と激励されてきた。既にプロ志望を固めており「大会も普段とやることは一緒。甲子園に行くために、やってきた」。夏の舞台で輝き、さらに注目を集める。【保坂恭子】

 ◆矢沢宏太(やざわ・こうた)2000年(平12)8月2日生まれ、東京都町田市出身。親戚の影響で、6歳から町田リトルで野球を始める。小3から投手。忠生中では町田シニアに所属。藤嶺藤沢では1年夏は野手でベンチ入り。秋からエース。昨秋は8強。好きな食べ物はラーメン。家族は両親と姉。173センチ、65キロ。A型。