5地区で代表決定戦が行われ、北見地区では紋別が網走南ケ丘を2-0で下し、創立12年目で初の北北海道大会進出を決めた。エース左腕の柴門(しばかど)尚憲(3年)が1安打6奪三振で完封。2回戦に続き2戦連続完封で北大会に導いた。

 100回目の記念大会で、紋別が新たな歴史を刻んだ。勝利を引き寄せたのは左腕エース柴門だ。変化球を巧みに使い、3回まで完全ペース。4回に1安打許すも、崩れることなく、気迫のこもった投球で3季通じ初の道大会を引き寄せた。2回戦北見緑陵戦に続き18回無失点での代表権獲得に「最後まで気持ちを落ち着かせられたのが良かった。これまでなかなか道大会に出られなかったので、本当にうれしい」と喜んだ。

 浅沼イズムが結果に結びついた。16年に紋別市の任期付き職員として元日本ハム浅沼寿紀氏(28)が指導に加わり3年目。指導スタートと同時に入学した現3年生が中心となり、壁を打ち破った。柴門は「投手として技術や心構えまで、たくさんのことを学んだ。まだまだですが、少しずつ出せるようになった」と手応えを口にした。

 今大会初戦(対北見緑陵)前日の28日、浅沼氏からベンチ入り18人に、6センチ四方のカードが配られた。それぞれ力が出せる勝負色を調べ、6色に分けたもので、柴門は赤。裏が白かったので同氏に頼んで、メッセージを書いてもらった。「弱気は最大の敵」「平常心」「気持ちのこもったボールは絶対に打たれないよ!」。浅沼氏が旭川南エースとして甲子園に出場した際、当時監督の小池啓之氏(66)に授かった言葉だった。ポケットに忍ばせた最強のお守りが、柴門の好投をアシストした。

 浅沼氏が指導を開始した16年春、地区2回戦で北見北斗に7回コールド負けしてから約2年。今春は地区予選4強入りでシード権を獲得し、夏は北大会切符と、順調にステップアップした。スタンドで見守った浅沼氏は「エースが投げ、後ろもしっかり守った。僕もうれしいです」と目を細めた。道産子元プロの下で着実に進化する紋別が、今度は旭川スタルヒンで旋風を起こす。【永野高輔】

 ◆紋別 紋別市の道立校で、紋別北と紋別南の統合により2007年に新設された。統合前の道大会出場は紋別北の秋3度のみ。