京都大会が9日に2日遅れで開幕し、日星の吉見誠弥投手(3年)が8回2死までパーフェクト投球の力投を見せた。豪雨の影響で学校は休校となり、前日8日にようやく全体練習を行った。そんな状況で京都明徳を1安打1四球完封。ロースコアの接戦を制し、2年ぶりに初戦を突破した。

 困難を乗り越え、日星の右腕吉見が偉業達成に迫った。序盤から打たせて取る投球で凡打の山を築いた。直球にスライダー、チェンジアップ、カーブを織り交ぜ、相手に的を絞らせない。得点を許さないどころか、ヒットも四死球もない。球場が次第にざわめいていく。「完全試合を意識していた」。8回2死に右前にポテンヒットを打たれ、完全投球はここで途切れた。それでも集中を切らすことなく、9回を投げきった。1安打1四球の完封でチームの夏1勝に貢献した。

 日星のある舞鶴市も西日本豪雨の被害を受けた。同校周辺の道路が通行できなくなるなど休校となった。選手は4日間集まれず、全体練習ができたのは試合前日の8日だった。兵庫県丹波市から通う吉見は「練習できない間は自宅で体を動かしていた」という。投球練習は試合前日に20球だけ。ぶっつけ本番に近い状態で快投を演じた。山中始之(もとゆき)監督(45)は「(チームは)一体感が出ていた。初戦の怖さを感じた。吉見さまさま」と振り返った。

 決勝のホームを踏んだのも吉見だった。8回に右前打で出塁。三塁まで進み、暴投で生還。ヒーローは昨冬から、自身のグラブに「ピンチ上等」の刺しゅうを施している。「中学の時からピンチに弱く、変わろうと思った」。その思いは指揮官にも伝わり、投手リーダーにも指名された。吉見だけでなく、野手は無失策でバックアップ。京都大会は雨で2日遅れ、この試合はナイター開催。逆境に負けず、大きな白星を手に入れた。【鶴屋健太】

 ◆吉見誠弥(よしみ・せいや)2000年(平12)12月2日、兵庫県丹波市生まれ。小学1年から、地元の竹田小学校野球クラブで野球を始める。市島中では福知山ベースボールクラブに所属。日星では2年春にベンチ入りしたが、昨夏はメンバー外に。直球の最速は132キロ。175センチ、80キロ。右投げ右打ち。