投げ終わると同時に声を上げるほど力を込める。池田(徳島)のエース白川恵翔投手(2年)が8回2安打無失点の快投を見せた。プロ6球団のスカウトが見つめる中、自己最速タイの140キロを連発。強気で内角を攻める度胸満点の投球は82年夏、83年春に「IKEDA」を甲子園連覇に導き、ドラフト1位で巨人入りした水野雄仁の再来を予感させた。

 「83年の優勝をユーチューブで見て、池田のユニホームを着て甲子園のマウンドに立ちたいと思ったので(水野氏に)憧れはあります」。同じ速球派の本格派右腕。地元では「阿波の金太郎2世」と評判だ。

 中学3年時に強肩を買われ、やり投げの小中学生版種目のジャベリックスローに参戦。ジュニアオリンピック優勝の快挙を達成した。そんな強肩が生み出す威力あるストレート。ソフトバンクの山崎スカウトは「球速以上のキレ」と評価した。

 この夏にかける思いは強い。3月の練習試合で死球を受け、右手親指の付け根を骨折。2カ月は投球できず、春の徳島大会を欠場した。「悔しさはあった。でもやれることをやって、夏は自分が投げるんだと」。短距離ダッシュや約5キロの長距離走で下半身を追い込んだ。86キロあった体重を82キロまで落とし、体にもキレをつくって復活した。

 井上力監督(49)は「池田の背番号1はプライドもあるし、簡単につけられるものじゃない。こんなもんじゃないと思います」とさらなる成長を期待。白川も「チームとして100回大会は意識してやってきた。応援してくれる人たちのためにも」ときっぱり。聖地を沸かせた大先輩に、続く。【吉見元太】

 ◆白川恵翔(しらかわ・けいしょう)2001年(平13)6月4日、徳島・三好郡三加茂町(現東みよし町)生まれ。小学3年から、地元の江南パワーズで野球を始める。江原中では軟式野球部に所属。池田では1年夏からベンチ入りし、今夏から背番号1。参考にしている投手は大谷翔平(エンゼルス)。179センチ、82キロ。右投げ右打ち。