オールラウンダー万波が夏を制す! 3連覇を狙う横浜(南神奈川)が逗子開成に8-2で勝利した。「6番中堅」で先発したドラフト候補の万波中正外野手(3年)は2本の安打を放ち、今季初打点を挙げた。中堅から一塁、右翼も守り、9回には昨夏甲子園以来となるマウンドへ上がり、3人で抑えた。自身3度目の聖地を目指し、大器が投打で暴れ回った。

 万波がグラウンドを駆け回った。2回の第1打席。逆方向へ右翼フェンス直撃の二塁打を放つと、リズムをつかんだ。3回2死三塁で左前へ運ぶと、好走塁で二塁を陥れた。「逆方向の打球は意識している。打撃以外のところも重視しているので二塁へ行けたのは良かった」。今季初打点を挙げ、いよいよ波に乗った。

 5点差がついた7回には中堅から一塁へ。8回に右翼を守ると、9回には昨夏甲子園1回戦(秀岳館)以来のマウンドへ上がった。1年生投手が打たれ2点を失った後だったが、最速144キロで無安打1三振無失点。全6球直球勝負で3人で締めた。「練習でも内野、外野、投手と全部のノックに入っているので緊張はない。相手も気持ちが入っていたので、気合で負けないようにした」。4ポジションのフル回転にも、涼しい顔で校歌を歌った。

 通算38発の大砲に、ヤクルト、阪神など4球団が視察。コンゴ民主共和国出身の父を持ち、190センチ、89キロの恵まれた体と規格外のパワーで入学時から騒がれたが試行錯誤が続いた。打撃フォームに悩み、春はスタメン落ちも経験。「野球人生でこんなにどん底はなかった」。食べ物により気を配り、自主練習にさらに熱を入れた。最後の夏は最終登録で滑り込んだ。

 万波 野球ができることがうれしい。自分よりチームの勝利を目指す。目標は3連覇です。

 3年連続の聖地には、万波の活躍が不可欠だ。【和田美保】

 ◆万波中正(まんなみ・ちゅうせい)2000年(平12)4月7日、東京都生まれ。小2で野球を始め、開進二中では東練馬シニアに所属。陸上部では砲丸投げで都大会優勝。横浜では1年春からベンチ入りし、同年夏の3回戦で横浜スタジアムのバックスクリーン看板を直撃する推定135メートル弾を放つ。50メートル走6秒3、遠投105メートル。190センチ、89キロ。右投げ右打ち。