北の大地から一番乗りの凱歌(がいか)が聞こえた。第100回全国高校野球北北海道大会の決勝戦が行われ、旭川大高が5-3でクラークを破り、9年ぶり8度目の甲子園切符を手にした。各地方大会もいよいよ佳境を迎え、22日には全国11会場で決勝戦が行われる予定。特別な夏の大舞台へ向け、球児たちが続々と勝ちどきを上げる。

 北の伝統校・旭川大高が100回記念大会の甲子園一番乗りを決めた。9年ぶりの優勝に、ナインはマウンドの沼田翔平投手(3年)へと集まり体をぶつけ合った。節目の大会での全国最速切符。端場雅治監督(49)は「甲子園で好きな日程を選べるとか(一番乗りで)良いことがあればうれしいんですけど」と冗談交じりで喜びをかみしめた。

 投打がかみ合った。エース沼田は9回6安打3失点で完投。140キロ台を連発し、3回無死には144キロを計測。「低めに投げ込むことだけ考えた」と最後まで乱れることはなかった。同点の8回無死からは4連打と犠飛で3得点。持ち味の堅実な野球を発揮した。

 まいた改革の種が花咲いた。昨春、高校野球のシンボルである丸刈りを禁止にした。09年以来、聖地から遠ざかり端場監督は「何かを変えなければ」と踏み切った。沼田は「髪を伸ばしているので負けられない。重圧がかかった」。どこまで伸ばすなど、自ら考え、判断することを推奨する一方、髪形以外の規律は厳しい。眉毛は少しもそってはいけない。野球道具の忘れ物には指導陣の厳しい目が光る。自立心と規律の両輪で強くなった。

 端場監督は15年ほど前から、高校の指導とは別に地域の幼稚園児から小学校低学年まで指導を行ってきた。かつての教え子が高校で再び教え子となり、中心となって北北海道最多の夏甲子園出場を「8」へと伸ばした。自身は監督として過去4度全国未勝利で「次こそは勝ちたい」。一番乗りの勢いそのまま聖地に乗り込む。【西塚祐司】

 ◆旭川大高 1898年(明31)創立の私立校。特別進学コース、スポーツ教育コースなどがあり、生徒数457人。野球部は64年創部で、部員は62人。甲子園は夏7度出場で80年の3回戦進出が最高。主な卒業生は元近鉄の鈴木貴久(故人)陸上男子400メートルリレーの北京五輪銀メダリスト高平慎士。所在地は旭川市永山7条16丁目3の16。阿部敏校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦18-2留萌

代表決定戦8-1旭川永嶺

1回戦7-2白樺学園

準々決勝3-2帯広大谷

準決勝9-8旭川実

決勝5-3クラーク