センバツ8強チームが、パワーアップして夏の切符をもぎとった。創成館の夏甲子園は3年ぶり2度目で、春夏連続。古豪の海星を相手に1失点完投した川原陸投手(3年)が成長を見せ、勝利の立役者となった。

 プロ注目左腕で背番号1。創成館は投手6人を登録しているが、夏の代表をつかむ熱投121球だった。「1点を取られた6回と最終回はきつかった」。しかし、エースはスタンドにいた控え部員を含めた投手陣を代表するように「気持ちで乗り切りました」と、ようやく笑顔を見せた。

 稙田(わさだ)龍生監督(54)は「川原の完投も、投手全員の力が大会を通じて生きた結果」と感じ取っている。攻撃でも派手さはないが、1つにまとまった。1回表に幸先よく1点を奪い、4回と7回に1点ずつ追加。9回には3点を挙げ、相手を突き放した。

 長崎県で春夏合わせた甲子園出場経験16高校中(旧制中学はのぞく)16番目の「新顔」が創成館。県勢の甲子園は、1917年(大6)第3回大会に旧制長崎中が出場したのが最初だが、今年の第100回大会は、長崎中の流れをくむ長崎西が2回戦で昨年準優勝の清峰に競り勝った。同じ伝統校の長崎東は3回戦で昨夏代表の波佐見を破って30年ぶりに8強入りした。それぞれのチームが違うカラーでスタンドを沸かせた中で、創成館は新たな歴史をつくる力を秘めている。

 長崎県勢の夏の甲子園最高成績は、52年長崎商、76年海星、07年長崎日大の4強。稙田監督は優勝インタビューでスタンドへ向かい「センバツはベスト8でしたが、なんとかその上に行きたい」と宣言したが、目指すのは頂点。深紅の大旗をつかむ力は持っている。【宇佐見英治】

 ◆創成館 1962年(昭37)創立の私立校。生徒数は801人(女子361人)。野球部創部は62年。部員数は123人。甲子園出場は春が3度、夏は3年ぶり2度目。主なOBは広田瑞人(格闘家)鬼頭えん(漫画家)ら。所在地は諫早市貝津町621番地。奥田修史校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦7-0壱岐

3回戦3-1小浜

準々決勝4-0長崎日大

準決勝7-1佐世保工

決勝6-1海星