100回の夏を記念するイベント「甲子園レジェンド始球式」のトップを切り、巨人や大リーグのヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(44)が登場した。開幕戦の藤蔭(大分)-星稜(石川)の始球式に登板。後輩捕手が構えるミットめがけて全力投球も、ストライクゾーンを大きく外れるワンバウンドに。「この年になっても甲子園の魔物に襲われた」と頭を抱えた強打者に、甲子園が沸いた。

 星稜・山下智茂名誉監督(73)は、松井氏の投げる姿を見て感慨に浸った。「僕にとっても人生最良の1日だった。松井が投げてチームも勝って。最高でした」。一時代を築いた教え子が、記念すべき100回大会で再び聖地へ舞い戻った。「国民栄誉賞や名球会と同じぐらいうれしかった、というようなことを言っていましたよ」と明かした。

 恩師は、ワンバウンド投球も“らしい”とほほ笑んだ。「国民栄誉賞をもらって長嶋(茂雄)さん(巨人終身名誉監督)と始球式をした時も、長嶋さんに当てそうになった。今日も力んでいましたね。頭を抱えるポーズも松井らしくて良かった」。つい、力の入ってしまう姿が懐かしかった。

 星稜の名誉監督としては、若い力が4年ぶりの夏の勝利をもたらしたことを喜んだ。「2年や1年が引っ張っているチーム。心配もしたが(先発した)奥川はセンバツから人間的にも成長した。甲子園で1つ勝つのは大変。特に開幕戦を勝ったのは大きな自信になったと思う」と自慢の教え子が授けた力で、長い夏になることを願った。【和田美保】