浦和学院(南埼玉)が4投手の継投で仙台育英(宮城)を破り5年前の初戦でサヨナラ負けを喫した雪辱を果たした。先発渡辺は自己最速タイの149キロの直球とストライクからボールになるスライダーを駆使し6回3安打無失点。「県大会中は甲子園に行かなきゃという思いが強かったが吹っ切れて楽しんで投げようと。今日は打者に助けられた」と喜んだ。

 背番号11の右腕は校歌を歌う前に主将の蛭間と目を合わせた。1年の冬、厳しい練習をやっても結果が出ず、野球をやめたいと思った。「寮を出て家に帰って、1カ月練習には出なかった」。そんな時、同期の仲間たちが家まで通い、励ましてくれた。「急がなくていい。戻ってくれば必ずよくなるから」という蛭間の言葉に勇気づけられ今がある。

 大勝に森士(おさむ)監督(54)は「先制できたのが大きかった。ダメ押しになる5点目はチームが活気づいた。さすが、キャプテン」と初回の佐野の適時打と8回の蛭間の本塁打を称賛し「本当に選手が頑張ってくれました」と涙ぐんだ。投打のバランスの良さは伝統のチームカラー。強さを見せつけた浦和学院が、優勝候補に名乗りを上げた。【久永壮真】