「レジェンド始球式」最終日の決勝は、松山商OBの井上明氏と三沢OBの太田幸司氏が登板。2人は69年夏の決勝で投げ合った。延長18回0-0引き分け、翌日の再試合で松山商が勝ち優勝した。

 まずは井上氏がセットポジションから1球。続いて太田氏が投げた。ともに捕手の手前でショートバウンド。

 井上氏 非常に緊張しました。高校時代より緊張した。ストライクをイメージしたんですが、腕が縮こまってしまいました。

 太田氏 井上がショートバウンドだったので、高めに投げようと思ったら同じようなショートバウンド。今回も引き分けでしたね。49年前の熱い思いがよみがえりました。

 -当時の試合を振り返って

 井上氏 相手が太田君で、我々は太田投手攻略を考えていた。1人の投手にあれだけてこずったのは、この試合の面白さを感じる。今回も金足農のエースが1人であれだけ投げている。ダブルりますし、重複される思いでテレビを見てました。

 太田氏 我々は力のないチームでした。決勝まできたのはおまけで、勝たなきゃいけないプレッシャーはなかった。無欲でした。毎回東北のチームが決勝に行くと取材を受けますが、今回の金足農は、勝利の女神が100回まで待ってくれたのかと。できれば東北勢初優勝が見たいです。吉田君には49年前の自分をオーバーラップさせて見ている。頑張ってほしい。

 -金足農・吉田投手について

 井上氏 今は分業制で、それも大切だと思いますが、ああいういい投げ方をしているピッチャーは1人でも投げられる。今の時代に逆行するかもしれないが、吉田君の下半身を見てもあれだけの鍛えられた体。そこまで鍛えた本人もチーム、指導者もすごいとあらためて思いました。

 太田氏 時代とともに変わるが、我々の時代はエースが最後まで投げる時代でした。何も考えずに投げてましたけど、吉田君は久しぶりにバランスのいい低めに伸びるボールがある。私は1番から9番まで、1回から9回まで常に全力で投げてましたが、彼は137、8キロで投げていて、ピンチになったらギアを上げる。だいたい力を入れるとボールがとっちらかるが、彼は力を入れるといいボールがいく。速い球投げるだけじゃないピッチャーとしての資質、ポテンシャルの高さを感じます。予選から9人でやってきた。僕はこの決勝は「昭和の高校野球」と「平成の高校野球」のガチンコ勝負だと思う。昭和を感じる金足農の野球と、今を代表する大阪桐蔭の野球がどういう試合になるか楽しみですね。